「すまいをトーク」は木造住宅を中心に、住まいに関することを建築士を交えて学ぶ会です
 
講座日程変更のお知らせ
【第11回座学】
知られざるゲタバキ団地の世界
2026/2/12(木)→
2/19(木)に変更しました
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次回講座のお知らせ
2025/11/8(土)13:00-17:00
知られざる秘密の花園 旧五条楽園など探訪
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<終了しました>
2025/10/11(土)12:30-17:00
鉄炮鍛冶屋敷 山口家住宅 フランス人刃物師 エリックさんの工房
→レポートをアップしました
2025年度スケジュール発表
    
スケジュールページを更新いたしました。2025年度の日程表と各講座の詳細は下記PDFファイルでもご確認いただけます!
 
 
            
すまいをトークって?
「すまいをトーク」はどなたでもご参加いただける住まいの勉強会です。受講生は随時募集中、単回参加も大歓迎です!
勉強会内容はスケジュールのページを、受講方法についてはお申し込みとお問い合わせのページをご覧ください。
 
	【第7回】2025年10月11日(土)鉄炮鍛冶屋敷 山口家住宅 エリックさんの工房
 心配していました午前中の雨が止み、青空が見える少し蒸し暑い10月11日の午後でした。
	   総勢31名参加で、2班に分かれてガイドさんの案内で見学会はスタートしました。紀州街道中、江戸時代の鉄炮鍛冶跡の路上案内を受け、其処から少し歩いて最初の見学場所鉄炮鍛冶屋敷へ。順路のテレビモニターでは井上家の概要、堺と火縄銃の関係を動画で観ることができます。小屋組みを見上げますと丸太梁を掛け、和小屋組の江戸時代特徴である吹き抜け空間となってます。長く繋がった土間は火縄銃の組み立てや調整が行われた仕上げ場であり、此れは他の町家に無い特殊な間取りと言えるでしょう。展示場では、火縄銃の分解展示がされ、銃身や銃床、点火装置であるカラクリなど、複雑なパーツで構成されていることがよく分かります。また、鉄砲に仕込まれた「ねじ」は締めると弾の爆発時の圧力を逃がさない機能・緩めて鉄炮に残った煤を掃除出来る機能と、メンテナンスが簡易にできる仕組みで、それはもう画期的なパーツであり、現在に至ってもこの「ねじ」はあらゆる機器にも多用されています。
	   堺では、鉄炮鍛冶がすべての部品を製造していたわけでは無く、パーツの作成で、各工程の専門性を高めることで、品質の高い鉄炮をつくっていた様です。井上家は現在の「総合商社」の走りであり、その「営業所兼技術工場」というところでしょうか?大名から注文が来たら、鉄を鍛えて銃身をつくるだけでなく、専門職人を統括していました。また、「かよい」と呼ばれる帳簿には、銃床をつくる台師や金具師、象眼師らとの取引の詳細が記録されています。長押の上には当時の絵符が残っており、此れは鉄炮を納品するときに添える札で、徳川御三家の水戸藩、大岡越前守等の名前が残っています。住居ブースには、お茶室、各種座敷が存在し、庭園も我々見学者の眼を愉しませてくれます。
	   屋敷を出て道中、「堺の町並みは通りに面していれば道路に平行に切妻屋根、角地は入母屋屋根と決まってた」などの案内を受け、山口家住宅に到着。外観は平屋の佇まいですが、内部に入りますと大きな土間の空間が現れ、見上げますと 吸い込まれていきそうな小屋組みに魅せられ、その中でも一段と大きな梁が非常に重厚感があり、到底外観からはこのダイナミックさは解りません。その土間に面して日常の生活空間である板の間、その奥の三つの座敷で構成されています。座敷天井には大工さんの「ちょうな」での加工跡が残った屋根裏の根太など歴史を感じることができます。1755年主屋を改築、南側に新しく玄関と座敷、西土蔵の増築、さらに江戸時代後期にかけて座敷を増築し、1800年には北土蔵の増築で現在の間取りとなりました。 順路に増改築時の棟札が展示されていますが、これは弊社も新築時に上棟日時・施主名・大工棟梁名に付け加え、現在では 施主様・棟梁の生年月日も記して棟木に括りつけています。
	    山口家住宅を出て、「堺まちなみ修景建物」(第二次世界大戦の戦火を免れた歴史的建築物が多く残る地域で、歴史的なまちなみを再生し、魅力向上を図るため、市民協働による取組)の建屋を外観から見て通り、 最終見学場所の2023年度弊会の座学で講師をされたエリック・シュバリエ氏の工房「DE SAKAI」へ。昭和初期に建てられた町家をリノベーションし、そこではエリックさん自身の鍛冶の実演見学でき、「この施設のいいところは、誰でも気軽に入れるようにしているところ。施設内をゆっくり楽しんでもらいたい」と自身が解説してくれました。また包丁の販売やワークショップなどにくわえ、工房を奥に進みますとフラワーショップ、フルーツパーラー、柳が涼やかな井戸水を汲み上げる人口池のある中庭、そしてその奥には一日一組限定の和風の宿泊施設が設えられています。
	   エリック氏は日本の鎖国時代〜の歴史を詳しく解説してくれます。しかし、フランス人に我が国の歴史を教わることが非常に恥ずかしく感じるのは私だけでしょうか?
	   最後にフランス人の鍛冶職人が鍛っている光景、チンチン電車通りに響く「キーン・キーン」音は、また一つ堺の観光名所が増えたように思えました。
	  
(reported by masaaki umeda)
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