「すまいをトーク」は木造住宅を中心に、住まいに関することを建築士を交えて学ぶ会です
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2026/8/20(木)18:30-20:30
すまい と ことば ~俳句に詠み込まれた「ことば」から「すまい」の風景をさぐる~
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【第5回】2026年8月20日(木)
すまい と ことば ―俳句に詠み込まれた「ことば」から「すまい」の風景をさぐる―
今回は、俳句という文学を通して「すまい」を考えるという、今までにない切り口での内容で一体どのようなお話しを聞けるのか楽しみにしていました。
講師は、竹中大工道具館のボランティア事務局長であり、建築士、インテリアプランナーでもある川本豊氏です。建築士として、また、俳句という文学にも詳しく、多岐にわたるお話しをお聞きすることができました。
プロローグでは、「すまい」のイメージとして「生と死」の両面があるということを話されました。その象徴的な事例として中国四川大地震(2008年5月12日発生)を報道する新聞に掲載された写真「親(血色のある手)が亡くなった子どもの(変色し血色の無い)手を握っている」を紹介されたのが強く印象に残っています。
そして「すまい」には、人が日常生活を送るという居住する「器」としての視点と、人が生まれ、日々の生活を営み、やがて最後の時を迎えるという生から死までの「場所」としての視点の両面があり、この両方の視点から俳句を通して「すまい」を考えるという説明がありました。
次に建築と言葉の関係を考える上での歴史として、紀元前にローマ人、ウィトルウィウスが著した「建築書」(建築十書)の中で「強」(構造:物理的)、「用」(機能:事物的)、「美」(芸術性:現象的)の3要素に加え、森田慶一が「建築論」の中で「聖」(超越性・神秘性:超越的)を加えています。また、「住まい(建築)」は物理的なハード面と精神的なソフト面の両義的視点が必要不可欠という説明でした。
以上を踏まえて、松尾芭蕉、井上井月(せいげつ)、種田山頭火(さんとうか)の俳句に移りました。「住まい」を、旅や月を通して詠んだ俳句をいくつか取り上げ、ご説明いただきました。以下は、一読しただけでは意味がわかりにくい句もあるので、比較的意味がわかりやすい句を選びました。
松尾芭蕉(1644~1694)は有名なので、いくつかの俳句をご存じの方も多いと思います。「奥の細道」も有名で全国を旅し、弟子もいました。我が家を発って再び帰る「旅」をしました。
・涼しさの指図に見ゆる住まひかな(指図:古い用法で、家の図面)
・米くるゝ友を今宵の月の客
・夕顔や酔てかほ出す窓の穴
・旅に病んで夢は枯野をかけ廻る(辞世の句)
等々
次に、幕末から明治期の井上井月(1822~1887)は、わたくし自身知りませんでした。井月は越後長岡生まれとされ、武家の出で和漢の学問を修め、昌平黌(しょうへいこう)とも関係があり、この時身につけた教養が後半生を助けることとなりました。江戸出仕中に善光寺大地震で在郷の一家妻子をすべて失ったとも伝えられています。その後、信濃の伊那谷に入り、村々を移り歩き、終生この地で「漂白」の人生を過ごしました。芭蕉の「幻住庵記」を諳(そら)んじて、求めに応じて襖に寸分違わず揮毫(きごう)した逸話もあり、「幻住庵記」全文の揮毫が残されているそうです。
芥川龍之介は、井月の書技を「入神と称するをも妨げない」と絶賛したそうです。そして自身の主治医であった下島勲(空谷)が井月の句集を自費出版するのを援助し、跋(ばつ)文を寄せています。
長岡と言えば、司馬遼太郎の「峠」(映画化もされた)で有名な戊辰戦争時の河井継之助(かわいつぎのすけ)、「米百俵」で有名な小林虎三郎、山本五十六の名前が浮かびます。調べてみると他にも多くの有名人が輩出しています。
・蛙なく夜の浅みや貰(もら)ひ風呂
・打返す枕に虫の遠音かな
・月刺さゝぬ家とてはなき今宵かな
・卯の花に三日月沈む垣根哉
等々
最後に、種田山頭火(1882~1940)です。わたくしは、山頭火は名前だけ聞いたことがあるくらいです。調べると山頭火とだけ呼ばれることが多いとあります。山口県防府市の大地主の長男として生まれたが、やがて一家は没落し、飲酒のため身を持ち崩して禅寺で出家得度(とくど)し、庵住しました。そして放浪行乞(ぎょうこつ)に発って、「庵住と行乞」を終生繰り返したそうです。井上井月を慕って念願の墓参りを果たし、俳句を詠みました。
・お墓したしくお酒をそゝぐ(他)
・寝床まで月を入れ寝るとする
・お手手こぼれるその一粒一粒をいただく
・あたたかい白い飯が在る
・窓あけて窓いつぱいの春
等々
お話された内容と資料から、芭蕉は「旅」の、井月は「漂白」の、山頭火は「庵住と行乞」の人生だったということ。また、井月は芭蕉をリスペクトし、山頭火は井月をリスペクトしていることから3人が繋がっていると感じました。
以上、講師の川本氏が話されたことは多岐にわたり、その一部ではありますが、わたくしなりに感じたことを、趣旨からずれている部分があるかもしれませんが、報告させていただきました。
講師川本様「すまい」について今までとは違った視点から説明していただき、ありがとうございました。(レポート:代表 北川 弘)
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