すまいをトーク〜すまい再発見!〜

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歴史的町並みと大阪くらしの今昔館
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「すまいをトーク」はどなたでもご参加いただける住まいの勉強会です。受講生は随時募集中、単回参加も大歓迎です!
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マンスリーレポート

【第11回】2024年2月8日(木) 歴史的町並みと「大阪くらしの今昔館」

「大阪くらしの今昔館(大阪市立住まいのミュージアム)」は、2001年(平成13年)に誕生した「すまい」に特化した本邦初の専門博物館です。
天六の日本一長い天神橋商店街に面した高層ビル9階、そこは古き良き浪速の町のど真ん中。木戸門を潜って一歩足を踏み入れると、江戸時代にタイムスリップ!
江戸期町並みの大通り両側には、実物大の商家や町会所の火の見櫓・風呂屋などがびっしり建ち並び、また、一日を45分間に凝縮し、音・光・映像で演出。人間国宝・桂米朝さんの正調大阪弁の語り口でご案内。
8階は、明治・大正・昭和の近代大阪の町を詳細な模型や映像で紹介。かつての清純派女優・八千草薫さんの爽やか語り口が、かつて彼女に胸を熱くした世代にはなんとも心憎い。

今回の講師「大阪市立住まいのミュージアム」館長・増井正哉先生の、熱の籠った授業に感銘!時間・空間を遥かに超えて、在りし日の学舎での恩師の言葉が偲ばれます。「建築は、歴史を重んじる唯一の技術」です。
町並みの調査・保存など、ご自身が携わった天職をベースに、日本の気候・風土・風俗などに即した町並みの問題点や、地域に根付いた有機的集落の形成などにご尽力されました。街並みの形成・復元については、歳時記(祭りなどの設え)・軒下空間と町並みとの関連性などに留意されたとのこと。

江戸・京・大坂町家の違いとして特に感じ入ったことは、大坂の裏長屋などでも徹底した内法制の実施と部材の規格化が推し進められていて、畳や障子などは店子の所有物(裸貸し)であることなどです。
また、展示している家屋は全て新築なのだが、棟毎に築後の経過年数を決めてエイジング(古びた趣)を施しています。エイジングは現場で行うが、木材の※風蝕だけは現地で処理出来ないので、事前に纏めて加工し持ち込んでいるとのこと。これなどは、全く新しい知見でした。今度、現場できちんと観察するとしよう。
「京都では店先に並の商品を少しばかり並べ大切な品物は奥の土蔵に仕舞い込むので、町並みが寂しく見える。大坂ではありったけの品物を店に広げて表を飾るので、町全体が大変繁盛しているように見える」には、近畿圏にありながら、双方住民の気質の違いに驚かされる。今日でも通用するのでしょうね、これなどは!
「張り子の飼い犬を撫でる人が結構いて毛色が剥げるので、定期的に塗装している」、「軒先の雨垂れ跡の位置は、実際の瓦と合わせている」などのご苦労話は、微笑ましくも厳粛に承りました。
敷地にゆとりがなく復元はされていないのですが、京町家には決して見られない「背割り下水の効用」など、展示にも今後の課題はあるようです。大坂町家は京町家の発展系にあり、「大坂町家こそ究極の町家といえる」でしょう。現代大阪に完璧な町並みの遺構が無い現実(空襲による焼却・道路拡幅による軒切り)を踏まえると、「住まいのミュージアム」内の復元町並みこそ貴重な存在です。もっと注目すべきではないでしょうか?
これは先生が語られたことではないのですが、商家台所上部内壁にヤモリ(家守)が一匹へばり付いています。ヤモリは文字通り「害虫から家を守っている」のです。当時の農家などでは、ネズミ対策として天井裏に青大将を飼っていることもあるとのこと。先人たちの「自然との共生」の卑近な事例を、暫し垣間見る想いです。
皆さんも「大坂町三丁目」を訪れた折は、「台所のヤモリ」をくれぐれもお見逃しなく!

講座生諸君!増井先生による「大坂の歴史的復元町並みの形成」を学んだ後は、木戸門を潜り、江戸期大坂の町並みにタイムトラベルしよう。そして、潤いある第2ステージ目指して、詩情豊かな感性を大いに養おうではないか!?

※風蝕:四季折々の外気や風の作用で、木材の表面が経年変化(痩せる)する現象。古代建築(法隆寺など)に著しくみられる。
(報告:運営委員・牧 彰)

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