「すまいをトーク」は木造住宅を中心に、住まいに関することを建築士を交えて学ぶ会です

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【第11回座学】
知られざるゲタバキ団地の世界
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<終了しました>
2025/6/1(日)
13:00-17:30
泉南の歴史的建造物と和菓子工場を訪ねて 〜田尻歴史館「愛らんどハウス」、青木松風庵月化粧ファクトリー、浪花酒造を巡る〜
→レポートをアップしました
2025年度スケジュール発表
スケジュールページを更新いたしました。2025年度の日程表と各講座の詳細は下記PDFファイルでもご確認いただけます!

すまいをトークって?
「すまいをトーク」はどなたでもご参加いただける住まいの勉強会です。受講生は随時募集中、単回参加も大歓迎です!
勉強会内容はスケジュールのページを、受講方法についてはお申し込みとお問い合わせのページをご覧ください。

【第3回】2025年6月1日(日)泉南の歴史的建造物と和菓子工場を訪ねて〜田尻歴史館「愛らんどハウス」、青木松風庵月化粧ファクトリー、浪花酒造を巡る〜
例会中は、少し汗ばむ程の陽気でした。
南海電車「吉見ノ里」駅に集合した参加者23名は、まず「田尻歴史館」に向かいました。
「田尻歴史館」は、明治から大正にかけて関西繊維業界の重鎮である谷口房三氏(大阪合同紡績株式会社元社長)の別邸として、大正12年に建築されました。一時、民間会社や個人所有となりましたが、平成5年に田尻町が購入しました。田尻町の住民に親しまれ、平成8年には国の登録文化財に指定されました。
ステータスとしての洋館の横に和館が繋がって建築されており、洋館にはどの部屋にも草木模様や幾何学模様のステンドグラスが施されており、大変豪華さを感じる建物でした。何とお風呂にもステンドグラスがありました。
カーテンレールも、どれほど立派なカーテンを吊るしていたのかと思われるほど豪華なものでした。1階の食堂と談話室は、カフェーレストランとしてオープンしています。
洋館内部は、床は全て寄せ木貼り、壁は腰板貼り、天井は白漆喰塗りになっていました。
白漆喰塗りに様々なデザインが施されていました。
和館の1階廊下のガラスは、昔のゆがみのあるガラスでした。8畳の和室に隣接する4畳の部屋の天井は格天井となっていました。案内の方にお聞きすると「仏間」だったとのことです。また、敷地南西には趣のある「茶室」がありました。
「田尻歴史館」の見学を終え、「吉見ノ里」駅を経由して「月化粧ファクトリー」の見学へと向かいました。その土地は、元ヤマダ電機の店舗だったとのことです。
見学コースに入ると、まず、お菓子の製造工程等のビデオ映像を見ました。
その後実際の工場製造工程を、ガラス越しに見学しました。その見学を終えると、いよいよ見学者1人ずつに、焼き立てのお菓子をふるまわれました。お茶やコーヒー付でした。
焼き立てのお菓子はとても美味でした。
お菓子の原料(白インゲン豆、大手亡、卵黄ベース及び練乳等)や製造工程の展示を見学したあと、買い物コーナーに行くと、皆さん、お土産のお菓子をたくさん購入されていました。
次に、最後の見学箇所である「浪花酒造」(「尾崎」駅徒歩約5分)に向かいました。
広い敷地に、住宅(主屋、別宅)と酒蔵という建築物が立並んでいました。
ここでは、「浪花酒造有限会社」の成子社長(10代目)自らが、主屋や酒蔵そして製造工程の説明をしてくださいました。
まず、主屋の座敷にてビデオ映像を映していただきました。ビデオの後、成子社長が少しお話をされましたが、その中で日本酒の消費量が減少していることや、お酒をお湯で温める「湯煎」で飲む「燗酒」をお勧めされていました。お酒を電子レンジで温めた「燗酒」は、舌に刺さる感じがする、一方「湯煎」した「燗酒」は、舌に穏やかな味がする、とのお話が印象的でした。また、最近は「酒粕」が良く売れているとのことです。
大正時代の主屋は、平成13年に国の登録文化財に指定されたとのこと。主屋の座敷は、10畳と15畳の2室で、天井の杉板は節なしで、廊下の床板は重厚な欅です。
洋室は、天井も高く大正ロマンの雰囲気が漂っていました。成子社長のお姉様が弾かれたピアノが残っており、当日は同社長が我々のために、わざわざそのピアノを弾いてくださいました。60歳を過ぎてからピアノ演奏に取り組まれたとのことです。
また、和室では琴が残されており、ここでも成子社長が、60歳過ぎから習得された琴を演奏されました。ここのガラスも「田尻歴史館」同様、波打っていました。
落ち着いた雰囲気の「茶室」もありました。
さて、酒蔵ですが江戸時代に建築された大規模な建物です。とても太くて長い「桁」と「梁」が大変印象に残りました。江戸時代からの古い建物が現代まで良く残っており、今なお現役で活躍しており、驚きました。
成子社長の酒蔵でのご説明は、大変ご丁寧で、すごくわかり易かったです。酒造りに使う水は、全て井戸水で深い井戸も見せていただきました。深さ10m、水面までは7mとのこと。和泉山脈から湧き出る地下水とのことです。
酒造りの工程は、洗米→蒸米→放冷(朝5時から)→麹菌を蒔く→寝かす(2時間)→出?(乾燥)→仕込み(20日間発酵)→絞り→濾過殺菌→検査→ラベル貼り とのことです。
社長のお話の中で驚いたことは、「酵母が糖分を分解してアルコールに変える。」という事実でした。これは約200年前に発見されたとのこと。それまでは、酵母がなぜアルコールに変えるのか分かっておらず、神様が変えるのだと思われていたそうです。酒造業界が神々へ種々奉納するのはそれが理由だったそうです。私も初めて聞いたお話でした。
成子社長、有難うございました。
酒蔵見学の後は、参加者の皆様がそれぞれお好みのお酒やいろんな材料でつくられた奈良漬を購入されていました。「浪花酒造」見学後は、懇親会へ行かれる方々と帰宅される方々に分かれました。
(レポート:中村 忠夫)
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